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6.152012
詰め込みで成績は上がるけど:英会話教育の基礎(6)
さて、そろそろ「塾に行っても成績は上がらない」という主張を展開しよう。
まず、一過性ということを取り上げる。
もう、これを見ただけで内容が分かってしまうね。
そうなんです。塾に行って成績が上がっても、それが一過性なんだなぁ。つまり、その成績の良さがそのまま続かないんだ。そこで終わってしまうわけ。
前回、中学生で英検3級に受からせる話をした。みんな受かる。そして、英語に自信を持つ。 「塾に来て良かったぁ」と子どもたちは目を輝かせて卒業していく。見送る私の心は複雑である。先が見えているからだ。
さて、それから1ヶ月か2ヶ月後、子どもたちから連絡が入る。「先生、英語教えて。わかんなくなってきた-」 ...
そうなんだよね。無理矢理詰め込んで3級に合格させた。それも、簡単な文章や簡単な文法だからできることなんだよね。
そのやり方は、高校英語には通用しない。単語も文も格段に難しくなるからだ。文法だって複雑だ。 私が使った「教科書丸暗記」というテクニックは通用しなくなる。
だから、私は高校生の英語は教えなかった。教えても成績が上がらないからだ。 卑怯なようだが、これが現実。
高校英語は難しいから教えるにはそれなりに勉強しなければならない。でも、私は忙しくて(面倒くさくて ^ ^; )時間が取れないという事実もあった。(こっちが本音。大学の授業の準備や報告書、書類などいっぱい抱えていたのでね)
いずれにしても、詰め込みなんかで一時的に成績を上げることはできる。これは事実。 問題はその効果が続かないことなんだ。「自分はできる!」という自信がやがてぐらついてくる。長い間の塾指導で、それを嫌というほど経験した。これは、英語の指導だけではない。どの分野でも言えることなんだ。内容が易しくて簡単なうちは、丸暗記で問題は解ける。
中学校の内容であればそれほど複雑ではないから、かなりの部分が丸暗記で切り抜けられる。 ただ、それがほとんどの場合は一過性なんだな。 つまり、その試験の範囲はしっかり身についたのだけれど、それ以降、それが発展しないんだ。
これが、「塾に行ったって成績は上がらない(正確には、成績は一時的には伸びても、そのまま伸び続けるわけではない)」と主張する根拠だ。
英会話教育も同じだ。「決まった文」、「対話文」の丸暗記、その応用練習をやれば、少なくともその表現だけは使えるから...ほんの少し会話ができる。でも、さまざまな状況で使える文を全部暗記仕様としたら...結果は明白だね。「覚えきれない!」、「忘れる!」ということになる。
だから、ASET School では、対話文や旅行会話、役立つ文章などを「覚える」練習を初歩の段階ではほとんどやらない。では、どういうことをやっているか。
次回は、ピアジェという心理学者の話を少し取り上げて論じよう。
(2012/6/15)
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