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塾で伸びる子、伸びない子の違いは知的発達の時期の違い

前回、小学生と中学生の頭の働きが切り替わるという話を書いた。

ここですごく大切なことなんだが、この頭の働きの切り替わりは、教育ではどうにもならないと言うことなんだ。

ピアジェによれば、このような頭の働きの切り替わりは、「均衡化」と呼ばれる、心内での自発的な過程によって生じると言う。教えられて生じる働きではないんだな。

で、中学校に入ったときにすべての子どもが頭の働きが切り替わっているのではないと言うことが重要なポイント。

形式的操作期に入っていない子どもたちにとって、中学校で教えられる抽象的かつ形式的な知識は、きわめて理解が難しい。いくら勉強してもなんだか、どこかピンとこない。

ま、たいていの子どもは教えられる内容を「やり方、方法」のパターンとして暗記してテストをクリアする。ピンとこない、なかなか先生の言うことが理解できない「自分は頭が悪い」と考えて、理解しようとする努力をやめてしまう。(「学習性無力感」)

さて、そういう子どもが塾に入る。そこでもやっぱり分からない。がんばる子どもはなんとかして抽象的、形式的な学習内容を理解しようと苦労する。あきらめの悪い子は、「どうせ、俺にはわかんない」、「私、馬鹿だから」と、投げてしまう。

ところが...頭の働きがそのうち切り替わり始める、形式的操作期に入り始めたんだ。

それは、学校では実感が難しい。先生の説明は画一的だし、一人一人に詳しく説明するわけではないからね。 ところが、塾では一人一人先生が一生懸命説明してくれる。(ま、まともな塾の話)すると...あらあら、それまで分からなかった数学が、英語の文法が、ストンと胸に落ちる時がくる。

「あ、そうか、そうなんだ、そうなんだ」、子どもは感激する。「やっぱ塾の先生の説明は分かりやすい」と納得してしまう。

ここまで読んで、勘の言い人は気づいたかもしれな。これって、前に出てきた成熟、レディネスというのと同じじゃないかなってね。そーなんです。理論的背景は異なるけれど、結論から見ると同じなんだな。

つまり、塾に行って「うまい指導を受けた」から分かったのではなく、頭の中で均衡化の過程が進み、次の知的操作の段階に入る時期が来たのだよ。だから、ストンと胸に落ちたわけだ。

反対に見れば、この時期に入っていなければ、子どもはいくらうまい説明を聞いても、やっぱり、何となく分からない。ピンとこない。

このことは、私が30年前にやった実験でも明瞭に証明されている。 数の保存理解テストという、操作の発達を調べる検査をやったのだ。その後、保存と言う自然界に見られる普遍的な原理を教える実験をやった。対象は前操作期の幼児だ。心内での操作はできないので、保存は理解されていない。

何回か人形を使ったり、いろいろな容器を使ったりして説明した。保存の考え方がしっかり分かるように。その後、先の保存理解の検査をやった。

結果は...実に明瞭だった。完全に前操作期の子どもで保存概念を理解した子どもたちは一人もいなかった。
一方、前操作期から操作期に移り変わる移行期の子どもたち(保存、非保存反応が不安定に出る)は、そのほとんどが保存を理解していたのだ。

この実験は、私の人生でもっとも成功した研究の一つなんだが ...おおっとと、つい話に夢中になってしまった。

ともあれ、明瞭になったことは、時期が来ていない(操作期になっていない)子どもには、どんな指導しても形式的な操作を必要とする内容は理解できないということなんだね。

いくらうまい先生が、うまく説明して、分かりやすくやっても、分からない子には分からないわけだ。

これが、塾に行っても成績は伸びない。という私の主張の中核。 そして、一方、その時期が来ていた子は、先生の説明で納得する。つまり、塾に入って成績が伸びる子が出る事実の説明。

ま、これくらいにしましょう。固い話だった。

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