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塾に行っても成績は伸びない?

塾に行っても成績は伸びないという話の続き。少し、専門的な話をする。

筆者の専門分野の研究者に、スイスの心理学者ピアジェがいる。20世紀を代表する学者だ。心理学者と紹介したが、正式には哲学者、数学者、生物学者と言う方が正しい。あるいは認識論学者...かな。

ともかくも20世紀半ばに人間の認識の発生およびその発達について研究し、全世界的な議論を巻き起こし、その後の研究に大きな影響を残した人だ。彼の理論は「発生的認識論」という名前。見るからに難しそうな名前だね。

いやいや、名前だけではないよ。内容もめっちゃ難しかった。筆者は、彼の研究を卒業論文で取り上げたのだけれど、彼の理論があまり理解できず、彼の研究の概論のたぐいをいろいろ読んでまとめるのが精一杯だった。(今から思い出しても情けない話だが) で、指導教授から「君のは卒業論文ではない。卒業感想文だ」とまで言われてしまった。(だけど判定Cで、通して下さった。良い先生だったなぁ)

さて、そのピアジェの説。 とっても簡単に言えば、子どもの知識や理解がどのように獲得されるか、認識の働きがどのように発達していくかについて、大きく3段階に分けられると言う説。その段階の違いは、「操作」と呼ばれる知的働きがあるかないか、その働きが何を対象にできるか...ということ。

こんな話じゃ先を読んでもらえないない。ええーい、ここはずっぱり簡単な例を取り上げて説明しよう。

頭の中で考える。10個のおはじきを並べる。まっすぐに並べたり、一カ所に集めて固めたり、2カ所に分けて置いたり ... できますか?

これが心内での操作。ま、あまり正確ではないが、大体こんな感じ。頭の中で、並べ替えたり組み合わせを変えたり、元に戻したりする操作だ。

幼稚園ぐらいだとこれができない。この時期が操作ができるようになる前...という意味で「前操作期」とピアジェは呼んだ。

で、小学生くらいになると、目の前に見えているもの、具体的なものについては頭の中であれこれと変形したり、組み合わせたり、元に戻したりといった操作ができるようになる。で、この時期が「具体的操作期」とピアジェは呼んだ。

中学生くらいから後になると、今度は、具体的なものだけではなく、抽象的なもの、記号などを使って頭の中であれこれと事物を操作できるようになる。たとえば、a>b、cc となる...などの考えができるようになる。 具体的なものではなく、記号などの形式で操作できるようになるから、「形式的操作期」と呼んだ。

よーするに、「操作」という点からは、頭の中で操作ができるかどうか、また、それが具体的なものに限られるかどうか、形式的なものも取り扱えるかどうかで、子どもの頭の働きは大きく3段階に分けられるということ。

この違いは、自然界などを理解し、取り扱うときに大きな違いを生み出す。

具体的な例を挙げる。

「鶴亀算」という計算、ご存じの方も多いだろう。「鶴と亀と合わせて30匹います。足の数を数えたら全部で74本ありました。さて、鶴は何匹、亀は何匹いるでしょうか」という、昔から伝わる計算問題。これをどうやるか。小学校と中学校では全然異なる解き方をする。(なお、鶴は「羽」という数え方が正しいのだが、こだわるとややこしくなるので、「匹」でそろえる)

小学校では、まず全部鶴だと考えて、足の数を考える。鶴は2本足だから、30匹いれば、足の総数は60本になるはずだ。でも、実際は74本だから14本余る。で、余った足をさらに2本ずつ配ると、2本足の鶴は4本足になる。そら、鶴ではないわ、亀だ。 だから14本割る2で、7匹分だから...亀は7匹、で、鶴は残り23匹になることになる。

では、中学校ではどうか。ここは、皆様よくご存じの「連立方程式」を作る。 鶴をx匹、亀をy匹とすると。 x+y=60 で足の数については、2x+4y=74 ...式を解けば答えが出る。

これが具体的操作期と形式的操作期の違いだ。

これが塾の成績とどう関係するか。 ... 次回... 

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