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胎内環境が遺伝子の発現に与える影響について

個性が生じる理由について、前回まで「遺伝」を中心に説明してきた。要約すれば、遺伝子が個人の特徴をほとんど決めてしまう...と言う、かなり極端な話。

ま、この点については後でもう少し詳しく説明して、ある程度修正しますので、もうちょっと我慢して付き合って下さい。

で、今回は胎内環境という話。

胎内環境と言うと...「胎教のこと?」と、連想する人も多いと思う。

つまり、胎内にいる胎児に、いろいろ働きかけて良い影響を与えるという「胎内教育」のことと考える方も多いだろう。 残念ながら、ここで言う「胎内環境」は「胎教」とは違う話です。

細胞の中の遺伝子は、胎児が成長するにつれて、次々と必要な組織を作っていく。遺伝子が、適切な時期に適切に働いて、順々にいろいろな器官が形成されていくんだね。その時の、親の精神状態、生理的状態を含む胎内でのさまざまな条件を「胎内環境」とまとめて言ったわけ。

たとえば、最初に神経系や性腺、脊柱の元になるものが形作られ、それが複雑になるにつれて、さらに細かい部分が作られていく。そして、次第に筋肉や胃・腸、肺などが仕上がっていく。

この、胎児発生、言い換えれば遺伝子の発現の順番=プログラムは、当たり前だけれど遺伝子が決定している。考えてみればこれはすごいことだ。建物の例で考えてみれば想像がつく。

一軒の家を建てるときに、土台や屋根、壁や窓、床やドアなど、てんでばらばらに作ったら、家なんか建たない。家を建てるときにはきちんとした順番、プログラムがある。それは容易に想像できるね。

まず、地面を掘ったり、ならしたり、固めたりという作業がある。それが終わってから土台作りだ。そして、柱を立てて、壁を作って...という順番がきちんと決まっている。

人間の発生は、その何百倍、何千倍も、いやいやもっともっと複雑な作業だろうね。それを遺伝子は見事にコントロールしているんだ。 「遺伝子様」と呼んでも良いくらい大変なお方だ。

ところで、この遺伝子の作用は、遺伝子がどんどん身体の部品を作って組み立てて行くだけではなく、遺伝子の設計によって作られた各器官が、それぞれ独自のサイン(ホルモンなど)を出して、自らも組み立て作業に参加している。

たとえば、Y染色体という、胎児の性を決定する染色体がある。この染色体1本とX染色体が1本の組み合わせだと男の子になる。Y染色体がなくてX染色体が2本あれば女の子になる。

このY染色体の上に性決定遺伝子と呼ばれる部分があって、それが働くと性腺(男性の精巣や女性の卵巣)の原型ができるんだが、男児に性腺ができると、アンドロゲンという物質(ホルモン)が分泌される。(妊娠7週目から24週目辺りに、大量に分泌される:アンドロゲンシャワーという現象)

すると...ジャジャジャ ジャーン、胎児は男性化を始める。これは、良く知られた現象で動物実験なども多い。

アンドロゲンは性腺の発達自体にも影響するが、脳の発達にも影響する。男児の大脳左半球(言葉などに関係する部分)の発達が抑制され、その代わり右半球(図形や数に関係する部分)の発達が促進されるなどの変化が生じるのだ。いわゆる、「男性脳」、「女性脳」に分化するわけ。

ところが、だ。この男性化を促す性腺の働きが、何らかの理由で弱まってしまうことが起こる。

するとどうなるか....男性脳の発達が不安定になる...と思われる。(少なくとも動物のレベルでは確認されている) また、これについては、ドイツでの「同性愛」発生率に関する研究などがあって、人間でも生じていることが想像できる。

その他、睡眠薬サリドマイドの影響(胎生)や「水俣病」で有名な有機水銀の影響などなど...胎内での子どもの発達にはさまざまな条件が関わってくるんだ。

これが「胎内環境」というやつ。「胎教」など生やさしいものではないんだな。

で、これが遺伝子の特性に加えて子どもの発達に影響を与えるので...

結論。子どもは実に多様な特性を持って生まれてくる...と言うわけだ。個人差が極めて大きいのだ。

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