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一卵性双生児でも全然似ていない場合があるのはなぜ?

これまで、遺伝の影響は大きいので一卵性双生児は顔かたち、行動、性格などそっくりになるという話をしてきた。

ところが、必ずしもそうではない例もあって、顔かたちもかなり違うし、行動や性格も違う場合がある。

なんて話をすると、「なんじゃそりゃ」、「それでは、遺伝は、顔かたちや性格などの形成にどのくらい影響するんだ」ということになる。

さて、結論(私の結論です。心理学研究者全員の結論ではありません。念のため)です。

顔かたちや性格は遺伝によってかなり決まる。というか、ほとんど決まってしまう。それは、異なった環境で育った一卵性双生児の顔や体格がきわめてよく似ていることからもいえる。

では、同じ家で育った一卵性双生児で、あまり似ないことがあるのはどうしてだ。

これは、「DNAのメチル化」などの現象で説明できると思われる。(また、小難しい話になってきた...勘弁してください。これを取り上げないと、説明できないんです。とりあえず「メチル化」だけ説明させて下さい。)

卵子が精子と合体し、卵管と呼ばれる、卵巣と子宮をつなぐ10cmほどの管の中を移動していく。その数日の間に分裂を始める。最初二つに分裂し、さらに4つに分裂し...最後に胚盤胞(はいばんほう)という状態になって子宮内に着床する(のだそうだ。わはは、ここは専門書の拾い読み)

その途中で卵子が二つに分裂し、別々の胚盤胞になって子宮に着床し、そのまま成長したのが一卵性双生児というわけ。元々一個の卵子に(つまり、そのままだったら一人の人になる) はずだったのが二つに分裂した訳だから、同じ遺伝子を持っている。 だからそっくりなるはずだよね。

ところがところがだよ、その二つに分かれた卵子が成長していく途中で、「メチル化」が生じる。メチル化というのは、長~いDNAの鎖のあちこちに、メチル基(炭素原子1個に水素原子3個でできた分子)がくっつくことなんだ。DNAの上には、ちょこっちょこっと人間の特性を決める部分=遺伝子が乗っかっているんだけれど、そこにメチル基がくっつくと、その遺伝子は働きに変化が現れる。

つまり、メチル化がおきた遺伝子は、元々の特性を発揮できなくなる。このメチル化は卵子が成長する間中、DNAのあちこちにランダムに生じるんだ。 

二つに分かれた卵子は、確かに同一遺伝子の組を持っているので、そのままだったら、まったく同じ遺伝的特性を持つのだけれど、それぞれの卵子が、発生の途中で異なったメチル化を受ける。

ここが、とても重要。双生児になる卵子のそれぞれが、DNAの違う場所、違う遺伝子にメチル化を受けるために、遺伝子の働きに違いが出てくるんだ。

これで分かったね。そう、メチル化の場所が違うために遺伝子の働き具合に違いが出て、一卵性双生児の行動や性格には違いが出てくる。

これが、一卵性双生児で「とてもそっくり」な場合と、「ずいぶん違う」場合が生じる理由。(と筆者は考えている)

つまり、二つの受精卵で、たくさんの異なった遺伝子にメチル化が生じれば、一卵性双生児は、「かなり異なった特性」を持つようになるし、それぞれ少数の遺伝子だけメチル化を受ければ、一卵性双生児は「とても良く似た特性」を持つようになる ... と言うわけ。

ま、話しはそう単純ではないし、メチル化だけが遺伝子の発現に影響するわけではないのだけれど、とにかくこうやって、染色体の組み合わせとは異なる個人差が生まれることは大体間違いないだろう。

姉はコンピュータ科学に関心が強く、妹は音楽に関心が強い...と言った一卵性双生児姉妹の例が「ニュートン」という雑誌に載っていた。

次は、胎内環境という話。

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