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個人差の出現する仕組み、脳内神経伝達物質

個人差というテーマは、心理学では長い間研究されてきたテーマだ。古くは20世紀の初め頃、フランスのビネー(知能検査の創始者)などが、個人差の測定に関する研究などで取り上げている。かなり専門的な議論になるんだが、お許しあれ。専門的な話をしないと、この点をきちんと説明できないんだ。 

個人差を取り上げる気持ちは良く分かるよね。人って、本当に一に人一人が異なっている。なぜこんなに違うのだろう。その相違を作り出す要因は何だろう。 筆者もこの疑問から心理学の世界に入った。

この個人差はなぜ生じるか...これに関しては、心理学は残念ながら十分な説明ができない。ここが心理学の限界であったわけだ。人間の行動を観察してそこに見られる共通性からモデルを作り、それで人間の心理を説明するという形では、個人の違いについては説明ができない。かろうじて因子分析が、人間の特性を因子と言う形で分析し、その因子の組み合わせで個人差を説明した。しかし、そのモデルでも、なぜ個人差が生まれるかについてはほとんど説明できなかった。

ところで、最近の大脳生理学、神経科学の発展は、人間の個人差理解に光を当てた(と、筆者は個人的に納得している)。

このことを理解するには、どうしても大脳生理学、神経科学の基本的な知識が必要なので、面倒だけれどごく簡単に説明しよう。

人間の脳で中心的な働きをしているのが脳神経だ。この脳神経は大脳全体で140億あると言われる。で、この神経細胞一本は、人間にたとえると、頭(細胞体)と腕(樹状突起)、足(軸索)でできている。で、腕で情報を拾い上げる、それを頭に集積・検討して、次の情報として足で蹴り出す(あまり良いモデルではないけど)。

また、情報を送り出す神経細胞の軸索の先端部(足)と、その信号を受け取る次の神経細胞の樹上突起(腕)の接点(シナプスと呼ばれる)に、わずかなすき間(シナプス間隙)があり、そこで精妙な信号の伝達が行われている。このすき間で情報の伝達の役割を担うのが「神経伝達物質(モノアミン)」と呼ばれるものである。100種類以上あるのだそうだ。(筆者は、心理学に関係ありそうなものしか知らない)

さて、お疲れ様。もうちょいです。

この神経伝達物質がどんな働きをしているかについて、最近の研究は多くのことを見いだしている。その結果、うつ病の患者さんはセロトニンやノルアドレナリンと呼ばれる神経伝達物質が不足しているらしい、とか、統合失調症の患者さんの幻覚にはドーパミンと言う物質の過剰が関係しているらしいなど分かってきた。

このセロトニンやドーパミンの分泌に個人差がある。(あるんだよ。間違いなくね。だって、皮膚の色は同じ人種でも微妙に違うだろう。皮膚の細胞の産出する黒い色のメラニン色素の分泌量に個人差があるなどの事実からそれが説明できる)

とすると、それがその人の気質(一番基本の情動の傾向)に大きな影響を与え、個人差を形成していることが想像できる。このことはすでにいろいろな人が言っている。ヘレン・フィッシャーという人なんかは四種類の物質で性格分けしたりしている。(研究者としては、そこまで断言するのはちょっと行き過ぎじゃない?って思うけれど)

神経伝達物質は200種類以上もあると言われるのだから、それらの相互作用も考えなければならない。そう簡単ではないのだよ。

この点を、次回は遺伝とのからみで説明してみよう。

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